幾千の夜を越え
終わった。
確実に葵の機嫌を損ねた。

「…しようと思ってた」

覚悟を決めて雑誌を前に出す。

勿論頁もそのままだ。

「…うん…良い…よ」

葵の視線がチラチラと雑誌を見ていることに気付いた。

やっぱ興味あんのか?

「見る?」

その瞬間身体中染まっただろうか茹で上がった。

やべぇ〜
もう少し言葉選べば良かった。

「あの…えっと…カーテン閉めて…明かり…消して」

涙目で訴えるから勘違いしそうになるが期待するだけ無駄だぞ…。

言われた通り部屋を暗くする。

真っ暗になった部屋では目が悪くなるだろうと枕元に僅かに明かりを灯した。

俺はどうすれば良いのか?

葵が見ている間は部屋出とくか?

壁を背に胡座をかいてた俺が
立ち上がろうとすると。

びくっ!と固まる葵に当たった。

「あぁ…悪い。風呂行ってるわ」

腕を掴み潤んだ瞳で見上げる。

「えっ?寒いか?」

震えている葵に気付いた。

葵を抱き寄せ腕や背を擦る。

「慎ちゃん…」

「ん?」

「おっお風呂は…無理…だよ…」

暗がりだから1人が怖いのか?

「電気付ける?」

ふるふると首を振り

「明るいのは…嫌」

身体の震えも止まらない。

< 150 / 158 >

この作品をシェア

pagetop