幾千の夜を越え
葵を抱き上げバスルームへ急ぐ。

忘れてた無垢な女の血…。
穢れ無き乙女の純血!

昨夜は疲れ果てた葵をそのまま
寝かせてしまった。

飛び込んで抱え込んだまま
労る様にシャワーの湯をかける。

「熱くないな?」

頷いて為すがままになる葵は

「何処か痛むか?」

あの朝も尊は歩けなかったのに。

「葵…痛いなら痛いってはっきり言ってくれなきゃわからない」

ふるふると首を振り。

「慎ちゃんの…まだ…ある…」

俺の首に手を回し
肩口に顔を埋めて呟いた。

「………痛むの?」

気配だけで否定する葵に
空を見上げる。

「あぁ〜…えっと…じゃあ…
気持ち…良いの?」

ピタッと固まる葵の反応に

「そっか…それでエッチな身体になっちゃった…っか」

安堵して嬉しいやら呆れるやら。

クスクスと笑いが漏れてしまう。

「笑わないで…」

「ごめんごめん…」

身体を固くする葵を
優しく抱き締めて髪を撫でる。

「じゃあ…寝室戻って」

掻き上げて現した耳元に

「もう一度…C…する?」

葵にも解る様に死語で囁く。

瞬間湯沸し器の様に剥かれたままの全身を赤らめた。

「慎ちゃんのエッチ…」

紅色の顔で覗き見た葵に
唇を重ね合わせる。

「葵もエッチならお似合いだ」



―fin―





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