幾千の夜を越え
落ち着いた頃を見計らい
大きく息を吸い込む。

「この馬鹿が」

肩をすくめ見上げるが、

んな顔しても、
今日は赦さねぇ。

「何やってんだお前は」

今にも溢れ落ちそうな涙目で

「だって…」

言葉に詰まっても、

駄目だ。
今日こそは甘やかさねぇよ。

俺が居なきゃ…
俺が見てなきゃ、

「死んでたかもしれねぇんだぞ」

すっかり萎縮して
俯く。

黙ったままでも…、
何考えてるかぐらいお見通しで、

最初は俺に怒られたことに、
臍曲げて…
んな怒鳴んな…か?

次に状況を挽回するだけの、
言い訳…
落ちると思わない…ってとこ?

んで落ち掛けの恐怖を蘇らせ、

最後に助けられて安堵し、

「慎ちゃん…ありがとう」

お礼を言う。

未だだ、
未だ足んねぇ。

俺はまだ治まんねぇ。

雰囲気を悟ったのか、

不安に揺れる目が
俺を見つめてても

「聞きてぇのはんなことじゃねぇ他にあんだろ?」

決めた。
コイツから聞くまでは続ける。

今日は絶対に誤魔化されねぇ。

「ん…」

瞬きにより溢れ落ちる涙。

偶然なんて早々起きる訳じゃねぇ

次には俺は居合わさねぇ確率のが遥かに高ぇ…。

だからこそ、
自覚させなきゃなんねぇ。

< 20 / 158 >

この作品をシェア

pagetop