幾千の夜を越え
生唾を飲み込み。

「腹減った〜今日は何食わしてくれんの?」

葵から離れた俺は食卓に着く。

「そんなにお腹空いてるの?」

いつの間にか笑顔を溢してる。

葵はいつだって自分の作った飯を褒められりゃ上機嫌になる。

「食前の運動してきた。
葵の飯腹一杯食えるように」

手に取るように解る葵の行動。

「ホント?たくさん食べてね?」

俺の茶碗に飯を盛って、
俺の箸を差し出す。

今この空間が俺を幸福感で満たす

「そう言えば慎輔。今日隣の学校の子に告られてたよね?」

はぁ〜?

何で今このタイミングでそれ言う?

階上から降りて食卓に着くなり、
茜が言ったことに
喉を詰まらせる。

「アンタどうすんの?
付き合うの?」

付き合うわけねぇだろ。
ってかヤルことヤって終わったっての。

とは、葵の前では口が裂けても
言えねぇ。

茜を睨み付け、

「…んで、お前が知ってんの?」

俺の睨みなんて屁ともせず、

「何でって…アンタ自分で知らないの?」

知らねぇよ。
噂にでもなってんのか?

「アンタ目立つから…。バーシ…

その言葉に茜の口を押さえる。

何で知ってんの?
葵の耳に入らねぇように
自分の学校の女には特に念入りに口止めしたはずだよな?

何かいつの間にか俺とヤルことがステータスみたいになってんからなぁ…。

「茜…何か欲しいもんあんの?」

ニヤッて目が笑って頷く。

買収出来るだけいいか?

目で合図すりゃ、
解ったのか首を振る。

信用して手を離した。

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