幾千の夜を越え
茜の飯を持って席に着いた葵に、

「葵は?今日の告白断れたの?」

茜が切り出す。

なっ…

葵の顔を見りゃ、

赤くなってやがる。
まさか…

「テメェ、どういうつもりだ茜」

俺が知らなくて、
茜が知ってるってことはそうゆうこどたよな?

さっきの倍の睨みに、
茜がたじろぐ。

「告るぐらいいいじゃん。
はっきりフラレた方が諦めもつくってもんでしょ?」

言いたいことは解る。

が、相手は葵だぞ?

「もしも押し倒されたら、
どうすんの?」

ヤリてぇ盛りの男は危ねぇ。
目の前に甘そうな餌があって我慢なんて出来ねぇだろ。

「アンタじゃないんだから…」

呆れ顔の茜に、

「はっ?無理矢理なんてしねぇ。合意の上…」

ヤベぇ〜

一瞬血が昇って口走った。

葵は…

直ぐに視線を動かせば、
放心状態の葵に胸を撫で下ろす。

「あの…ケンカしないで」

不安気な声で訴える葵に、
手が伸びそうになり、
抑える。

「喧嘩じゃねぇだろ。
んで、どした葵?」

安心させるために、
トーンを落とす。

涙溜めながら頷いて、

「好きですって言われた」

話出した。

そりゃ…告ってんだから。

突っ込みたい衝動を堪え、
黙って頷く。

「好きな人居ないなら付き合って下さいって」

なら、嘘でも居るって言えよ。

って葵にはムリか…。

腕を組み足を組み替える。

「だから…王子様じゃなきゃダメって言った」

王子様って…。

またそんな寝惚けたこと吐かして
んなんで男が納得すっか

床を蹴る足が小刻にリズムを刻む

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