幾千の夜を越え
本当にそうなのだろうか?

少なくとも
右近にも左近にも
人間離れした力があった。

左山には今も残されている。

「あほか!
尊を狙っとるんは自然やないで」

「自然じゃねぇなら尚更可笑しいだろ!」

人間の力で対抗出来ねぇ災害を
神のせいにしてその怒りを鎮める為に差し出すんだろ?

「ほんま何も覚えてへんのやな。そしたら何で俺達にはこない力が与えられとると思う?」

「何でだよ?」

「尊が貴いのは純粋な器やからや尊は何の力も持ちよらんかった。言い換えれば誰の力も吸収しよる恐ろしい兵器っちゅうこっちゃ」

力を吸収する?
恐ろしい兵器だと?

尊は氏神として崇められていた。

氏子を守る鎮守の神が
兵器だというのか?

「待て…混乱してきた。
尊は本来は兵器で恐ろしいから…逆に奉ってたってことなのか?」

「氏子は知らん!
ほんまに信仰しとったんや。
知っとったんは…雷神の落とし子右近だけやった!」

また右近だけかよ!

いい加減にしてくれ…

だったら、
右近しか知らない事実を

「何で左山が知ってるんだよ?」

「前回の左近は覚醒しきれなんだだから右近しか知りよらんかったただそれだけや…」

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