幾千の夜を越え
昨日から俺は悶々としてる。

葵が好きな奴って誰何だよ。

アイツの理想は、王子様ってか?

大体王子様って何だ?

ハーフの俺は、
ブロンドに近い茶髪で、
見た目的には英国紳士…。

葵は外見で人を見る奴じゃねぇ
当然俺のことも王子なんて
考えてるはずがねぇよな?

ガンッ

机の足を蹴飛ばす。

「何だよ右川。
今日は一日機嫌悪いな?」

クラスメートの一人が、
俺が倒した机を戻した。

「そんな時にあれだけど…
2年の先輩が中庭で待ってるって
伝言頼まれちった」

頭を掻きながら言った。

また呼び出しかよ。

面倒臭ぇ〜

ってか、アレだよな?
放課後に呼び出すってことは、
そのまま持ち帰りしろって?

ヤベ
今週は流石に食い過ぎ…。
明日は土曜で休みだしな

「悪ぃ〜パス」

片手を頭の横でヒラヒラ揺らして
教室を立ち去る。

「何だよ慎輔。腹壊した?」

俺の後に続いて飛び出してきた

「うっせぇ気分じゃねぇんだよ」

いわゆる悪友の
首に絡み付いた手を外す。

「来るもん拒まずのお前が?」

来るもん拒まず…。
去るもん追わず…。

俺のポリシーみたいな?

「だったら合コン行かねぇ?」

何がだったら何だよ?
意味解んねぇんだよ。

「お前が来ると盛り上がんだわ」

「俺の一人勝ちだぞ?」

何が楽しんだか?

「だからさ…分け前の方を…」

人を充てにしてんじゃねぇよ。

「なあ頼むよ」

仏か何かと勘違いしてんじゃね?
拝んでんじゃねぇよ。

うだうだ言い続ける奴を
相手にせずに、

下駄箱で靴に履き替えてると

「右川君」

待ち構えていた女に捕まった。

「伝言聞いた?」

あぁ〜、
中庭で待ってるってアレ?

「ちょっと付き合って」

指差す方は…
やっぱ中庭…。

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