偏愛ワルツ
〇
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どいつもコイツもと思っていた。
どいつもコイツも、俺が睨むと怯む。男も女も関係ない。ダチでさえも、俺が睨めば……いや、目を向けただけで押し黙る。
俺はそれが我慢ならなかった。
言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいのだ。
お前らはテレパシーでも使えるつもりか。
人間関係が、腹立たしかった。
だから俺はグループを抜けたし、廊下を歩くのもひとりでだ。
「待ちなさい」
と階段を下りていた時、踊り場で呼び止められた。
声で判断せずとも、相手がわかる。この学校で俺を呼び止められるヤツはひとりきりだ。
振り返ると案の定、うちの担任がいた。まだまだ新任らしく、しわもない黒のスーツがイカしていた。
「ンだよ」
少し見上げれば、奥が見えるか見えないかの絶妙さで、黒いストッキングに守られる脚が拝めた。
「髪、黒くしてくるって言ったわよね」
「……知るかよ」
嘘だ。本当は覚えているが、わざとやらないのだ。
「こないだ言ったはずでしょ! 金髪は校則違反です! 次までに染めてらっしゃい!!」
「もし染めてこなかったら?」
「っ、もしじゃなくて。染めて来ればいいの!」
ああ、ダメだなと思った。
どいつもコイツもと思っていた。
どいつもコイツも、俺が睨むと怯む。男も女も関係ない。ダチでさえも、俺が睨めば……いや、目を向けただけで押し黙る。
俺はそれが我慢ならなかった。
言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいのだ。
お前らはテレパシーでも使えるつもりか。
人間関係が、腹立たしかった。
だから俺はグループを抜けたし、廊下を歩くのもひとりでだ。
「待ちなさい」
と階段を下りていた時、踊り場で呼び止められた。
声で判断せずとも、相手がわかる。この学校で俺を呼び止められるヤツはひとりきりだ。
振り返ると案の定、うちの担任がいた。まだまだ新任らしく、しわもない黒のスーツがイカしていた。
「ンだよ」
少し見上げれば、奥が見えるか見えないかの絶妙さで、黒いストッキングに守られる脚が拝めた。
「髪、黒くしてくるって言ったわよね」
「……知るかよ」
嘘だ。本当は覚えているが、わざとやらないのだ。
「こないだ言ったはずでしょ! 金髪は校則違反です! 次までに染めてらっしゃい!!」
「もし染めてこなかったら?」
「っ、もしじゃなくて。染めて来ればいいの!」
ああ、ダメだなと思った。