偏愛ワルツ
「でも、あの……」
「やめて、ね? それよりも、今日はどうしようかしら」
「……」
「そうだわ。新しい服を買ってあげる。こないだ、とてもかわいいお店を見つけたのよ」
彼女は、黙っている。
「ね?」
繰り返すと、天使は静かに頷いた。その素直さに、どうしようもなく感動し、抱き締めたいのをこらえる。
彼女が、ブランコから下りてランドセルを背負う。その時、しなやかな肩が服の下で大きく動き回った。若々しい関節の回転に、見とれてしまった。
「先生?」
「あ、ああ、うん。じゃ、行きましょっか」
本当なら、彼女の手を取って歩きたかった。が、それは制される。
あたしと彼女が手を繋ぐのがおかしいからでも、世間体を考えたわけでもない。
恐れ多いのだ。
彼女はあたしにとって天使様だ。人間が天使に気安く触れるなんて、到底許されない。
そうは言っても、彼女はあたしのお人形さんなのだ。
洋服屋についたあたしのテンションは、うなぎの滝登りだった。
「素敵なお店でしょ? ね? 服だけじゃなくてお人形もあるのよ」
天井近くには、愛らしいドールや柔らかそうなベアも並んでいる。
けれど、天使様の神々しさには敵わない。
「やめて、ね? それよりも、今日はどうしようかしら」
「……」
「そうだわ。新しい服を買ってあげる。こないだ、とてもかわいいお店を見つけたのよ」
彼女は、黙っている。
「ね?」
繰り返すと、天使は静かに頷いた。その素直さに、どうしようもなく感動し、抱き締めたいのをこらえる。
彼女が、ブランコから下りてランドセルを背負う。その時、しなやかな肩が服の下で大きく動き回った。若々しい関節の回転に、見とれてしまった。
「先生?」
「あ、ああ、うん。じゃ、行きましょっか」
本当なら、彼女の手を取って歩きたかった。が、それは制される。
あたしと彼女が手を繋ぐのがおかしいからでも、世間体を考えたわけでもない。
恐れ多いのだ。
彼女はあたしにとって天使様だ。人間が天使に気安く触れるなんて、到底許されない。
そうは言っても、彼女はあたしのお人形さんなのだ。
洋服屋についたあたしのテンションは、うなぎの滝登りだった。
「素敵なお店でしょ? ね? 服だけじゃなくてお人形もあるのよ」
天井近くには、愛らしいドールや柔らかそうなベアも並んでいる。
けれど、天使様の神々しさには敵わない。