【完】『法律探偵事務所』事件file -密室の密室-
明さんの声は、すぐに耳に入らなくなった。
目の前に、小さなクロスのついたネックレスが落ちていた。
それは、確かに見覚えがあって、小さい頃に名前も知らないお兄さん――もちろん肉親ではないが――にあげたものだった。
「俺、これ見てこの部屋に入ろうとしたんだよ」
明さんが、少し真剣に言った。
ということは、どういうことなんだろうか?
明さんは…やはりそうだったの?
今まで解決しなかった、引っかかる部分は、今解決されたのだった。
「これって明さんのですか?」
とりあえず、聞いてみた。
「ああ、女の子から貰ったんだ」