【完】『法律探偵事務所』事件file -密室の密室-
そして…兄の部屋に静かに入った。
合い鍵は、初めて使ったな、と思いながらも。
そこには、先ほどのメールの通り明さんや宏美さん、葵さん、西園寺さんもいた。
しばらく、そのやり取りを黙って聞いていた。
兄は、なんだかんだで私に干渉しなかった。
でもそれが、優しさなのだと最近よく分かるようになった。
何も言わない優しさ、それは何か物足りない気がしてならなかったが。
「そういう正義が、罪悪感を生むんです」
兄のその言葉に、私は扉を開けた。
全員の視線が、注がれた。
私の兄は、ニコニコと笑っていたが、他は目を見開いていた。