【完】『法律探偵事務所』事件file -密室の密室-
side 雫
「えーと…」
これで解散、と告げようとしたが、不意に誰かの視線を感じた。
犯人だ、なんて直感が私に警告してるようだった。
「じゃあ5階の部屋へ行きましょうか」
だからあえて、そう言った。
この中で、事件の全貌が見え始めてるのは私だけだと、確信した。
これはまた、変な事件に巻き込まれそうだと、思う私であった。
「あれ、行かないんですか?」
葵さんの声に、曖昧に笑うことしか出来なかった。
これは、心理戦になりそうだ。
私は、犯人を欺くことが出来るのか先の見えない不安に、襲われていたとは、言えなかったから。