【完】『法律探偵事務所』事件file -密室の密室-
「学部を教えて貰えますか?」
「獣医学部ですよ」
「なるほど…」
獣医学…か。
少し重たくなった空気に臆せず、口を開いた。
「昨日は、何を?」
「アリバイですかね?まあ、構わないですよ。昨日はずっと講義でした。確認してもらえば、わかりますよ」
「そうですか、ありがとうございました」
何も言えないでいる涼子の腕を掴み、立ち去ろうとした。
「春岡雫さん?」
何故か、フルネームを知っていた。
「心配しなくとも、私のアリバイは証明されますよ。それから…青井君とこれからも仲良くしてあげてください」
私は、何も言わずに部屋を出た。