【完】『法律探偵事務所』事件file -密室の密室-
私は、彼を無視して近くにいた学生に声をかけた。
「あの…石山教授のことで」
聞きたいことがある、と言いかけたらその人は、私達の腕をひっつかみ、彼から離れるようにして、ある小さな部屋へ連れて来られた。
「す、すいません…ただ、お伝えしたいことがあって」
「何故私達に?」
「寛子の事件を調べてるって聞いたから…」
小柄な女性は、私の視線を避け俯いた。
「それ、誰からです?」
「石山教授から…講義の度その話をするんです。殺人に意義があると。意義のない殺人は、殺人ではなくて、自己満足なんだとか」