ジュエリーボックスの中のあたし
そして侵略へ
次の日から、ビックリするほどたんたんと引っ越し手続きは進んでいった。



今月いっぱいであのマンションを立ち退くことになったあたしは、それまでに家具やら衣服やらその他すべて自分のものは整理しなくてはいけない。



業者に頼もうかとも思ったけど、必要な家具、靴、服、そうでないものとを分けるいい機会だと思いまだあの部屋をそのままにしている。



たぶんあたしの家具をいくつかユキの部屋においたらだいぶ生活感が増すのではないかと思う。



食器なんかもユキの部屋にはほとんどないのであたしのものを足せばいい。



あたしが他のマンションを捜すのを考えなかった訳ではない。



住宅情報誌を買ってみたりしたが朝起きたらそれはなく、ユキに尋ねると、必要ないから信光に処分してもらったよ。などと言われた。



あの毎朝来る長髪男が信光という名前だということを、遅ればせながらながらあたしは今さら知った。



そんなこんなであたしは本格的にユキのうちに住むことになった。



そのうちあの部屋へ整理に行かなければと思うのだけれど、最近仕事が驚くほど忙しく暇がとれない。



ユキが手伝ってくれると言っていたのだけれどもあれでも社長。



彼もなかなか忙しい身でふたりの休みが合うことはなかなかないのだ。



そんなこんなでとうとう月末が来てしまった。



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