最後の恋
いつもよりペースは遅いのに、何杯かのんだところで気持ち悪くなってきた。

ちょっと・・とその場を抜けてトイレに急ぐ。

トイレは誰かが入っているらしく、鍵掛かってる。

気持ち悪くなって、その場に立っていられなくなった私はその場にしゃがむ。




いくら待っても、鍵の開く気配はない。

もう、いいや。

あきらめて立とうとしたら、目の前が暗くなった。

「どうした?」

立ってたのは課長だった。

「誰か、入ってるみたいなんですけど、出てこなくて・・・」

「立てるか?」

課長はそう言うと、私の脇の下に手を入れて立ち上がらせる。

「大丈夫か?」

私の顔色を見ようとしたのか、顔を上げると課長の顔が近くにあった。

ドキドキ・・・。

飲み過ぎでバクバクしてた心臓がまた早く動き出す。

そのまま課長に手を引かれ、カウンターに座らされる。

「ちょっと、待ってろ」

課長は、カウンターの中の人と何か話すと、いなくなった。

「どうぞ」

ボーっとしてた私の前にコップが差し出された。

「えっ?」

顔を上げると、お水です。と、ニッコリ微笑んでるバーテンさん。

笑顔が素敵だ・・・。

「ど、、どうも・・・」

コップのお水を飲む。

普通のお水なのに、体がキューってなる。

冷たいお水を飲んで、気持ち悪さも少し落ち着いた。

「ありがとうございました・・・」

バーテンさんにお礼を言って、席に戻ろうと立ち上がる。
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