最後の恋
5章 否定された人生
私はスイマセンとだけ言って、鞄を掴んで玄関にむかった。
靴も履くか、掃かないかの状態で、飛び出す。
それからは、おもいっきり走った。
飛び出る涙は止まらない。
ジロジロ見る、歩く人なんか気にしてられなかった。
ただ、この場からいなくなりたかった。
ひたすら走って、近くにいたタクシーを捕まえて、私は自分の部屋にたどり着いた。
バタンッ
部屋のドアを閉めると、我慢してた嗚咽が出た。
「う・・・・っ。ヒック・・・」
もう、涙は止められなかった。
斗馬のお母さんの言葉がずっと、心にささったままだった。
一晩中、私はそこから動けなかった。