最後の恋
結局、好きなように呼んで良いといわれたのに、長谷さんと名字で呼ぶことも却下され、陽輔と呼ばされることになった。

いくら直属じゃないとはいえ、上司ですよ?

上司の課長を呼び捨て?

いくら、私でもそんなこと出来ないよ~、と思いながら、ビールに口を付けてたら

「今度、課長って言ったら、お仕置きするから。」

と、ものすごい爆弾を落とされた。

課長は、実はかなりのS男なのかも・・・・。





「ところで、真野って、総務部長と同じ名字だけど他人?」

ビールから焼酎になり始めた頃、課長が聞いてきた。

「いえ、姪になります」

「ふ~ん・・・」

課長はそれ以上は深く聞いては来なかった。

私は家族のことを聞かれるのが嫌いだ。

昔、結婚を考えてた彼に家族が原因で別れを告げられた。

それが今でもトラウマになってる。

だから、家族の話題になると私からは変なオーラが出てると、以前真比呂さんに言われたことがある。

私がウチのホテルに勤め始めたのは、元カレと別れてからだ。

短大を卒業したときはウェディングプランナーとしての職はなくて、結婚するつもりだったから事務職として、就職した。

でも、彼と別れて会社も辞めたとき、真比呂さんと偶然再会して、高校生の時にバイトしてた縁もありこのホテルに来た。

だから昔から私のことを知ってる人は、大概のことは知ってる。

でも、他の人は知らないから、ふとした話の拍子に話を振られた時でも、無意識のうちに体が硬直して動けなくなったこともあった。

それなのに・・・。

仲の良い同期にだって、話したことないのに・・・。

今、課長に聞いてもらいたいと思ってる自分がいる・・・。

でも、他人からしたら重たいよね。

家族のことなんて・・・。













< 41 / 97 >

この作品をシェア

pagetop