最後の恋
課長があまりにも優しい顔で私の顔を見つめるから、私は話してしまった。

父がいないこと、

母が女手一人で育ててくれたこと、

でも小学生のときに亡くなったこと、

それから叔父の家に引き取られたこと・・・・。

それから・・・・・

「・・・・。」

「それだけか?」

課長が顔をのぞく。

ううん。

まだまだ、あるよ。

でもね、これ以上話したらもう、涙が止まらなくなるのわかってる。

だから、もう終わり・・・。

「俺は全部知りたい。浅姫のこと。」

「えっ?」

ビックリして顔を上げる。

今・・・・あさぎって言った?

「俺、初めてだよ。一目惚れって・・・。浅姫、俺と付き合ってくれないか?」

「・・・・。」

課長が私を好き?

そんなことってある・・・?

「・・・・」

でも、駄目

課長の大切な時間を私と共有なんて出来ない。

だって、私は・・・・・

「・・・・」

「浅姫・・・?」





< 43 / 97 >

この作品をシェア

pagetop