支配者
アオイは成績優秀者で、スポーツもできる。

家柄も申し分なく、母親なんて教育委員会を勤めているぐらいだ。

まあ学校にいる限り、彼に逆らうなんて誰も出来ないだろうな。

彼は―小賢しいから。

移動教室の時間になり、近くにいた仲の良いコに話かけようとした。

けれど彼女は顔をそむけ、他のコとそそくさと行ってしまった…。

彼女は昨日、いじめる側にいたからなぁ。

気まずいんだろうな。

「あれ? 一人?」

アオイがまた声をかけてくる。

「うん。先に行かれちゃった」

「じゃあ、僕と一緒に行こうよ」

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