ローソ
「うっあっああっ!!!」  


孝介は自分の首を掴みながら必死に呼吸をしようとしているが、変わりは一つもない。ただただ苦しそうにわめいていた。

「たっすけ・・・香奈美・・」  

最愛の彼女が孝介の事をみて笑っている。悪魔のように・・・。あれが本当の香奈美じゃなくても・・分かってても・・なぜか・・・ 
涙が頬を伝う。    



・・・ああ。 
もうだめなんだ。
最後くらい、香奈美の近くにいてぇ・・・
か・・・なみ・・・  


孝介は無意識に香奈美を抱き締めていた。

もう・・・意識が・・・


「か・・・なみ・・・愛してる」

孝介の手がすーっと香奈美から離れ、どたんと音を立てた。 

 
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