水色の運命
そこに立っていたのは
二十代後半くらいの
男の人だった。


1番に目についたのは
その人が手にしている
大きいカメラ。


「すみません
ちょっと道をききたいんですが」


「いいですよ」

ニコっと笑うノンに
ホッとしたのか
男はノンの隣に座り
小さなメモ用紙を広げた。


そこには簡単な地図が書き込まれている。

地元の人間じゃないと
分からないような
単純な地図。


「これは…」

1番簡単な行き方で
丁寧にノンは教える。


「ホンマ助かりました」

男はボサボサの頭を
人差し指で掻きながら
頭を下げた。


「あれ?!
関西の方なんですか?」

普段は人見知りで
こんな風に話しかける事のないノンだが
今日は特別だった。


「はい。
カメラが趣味で写真を撮りにきました」

この公園は景色がキレイで有名な公園。

こういった人が来るのは珍しい事ではない。
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