水色の運命
「関西弁の方と喋るのって初めてかもしれないです」

ノンが笑うと男は

「ホンマですか?
イヤ〜関東の方は冷たいとか言われてて、道もききにくかったんです。
でも冷たいとかウソやと思いました」


男はまた人差し指で
頭を掻いた。


冷たいんですよ。

人間は裏切るんですよ。

そんな思いをかくし
ノンは笑顔を作った。


「あの〜実はずっと後ろから見てたんです。
ものすごく背中が寂しそうだったもので…」


男は元々優しい口調だがさらに優しく言った。



人間嫌いになっていた
ノン。

初対面の人間に
信用なんかは求めていない。


ただ久しぶりに
自分の弱音を吐ける人間に会えた気がした。



「あっ!変な事を言うてすみません。
カメラが趣味なだけに
何か真実が見えてしまうと言うか…」


男は
今になって自分が変な事をクチにしてしまったと後悔している様子だ。


そんな姿をみてノンは
少しだけカワイイと感じた。


人に話せば少しは気分が晴れるかもしれない。


そんな思いから
ノンは今までの事を話し始めた。


男はその間
相づちを打ちながら
ただ話をきいていた。
< 52 / 94 >

この作品をシェア

pagetop