水色の運命
慎吾の車の後部座席に
美樹を乗せた。


「道言うてくれる?」

「すみません」

美樹はあやまった。


「ナンパについて行くわりには
おとなしい子やなぁ」


山田は
ポツリつぶやいた。


「実加の付き合いです」

「ふーん」

山田は興味なさそうに
また窓の景色を眺める。

「あの山田さんて下の名前は何ですか?」

「何かさっきより
よう喋るなぁ」

美樹の質問に
慎吾は笑った。


「今日はオレ
名前ばっかきかれる日やな」

山田も笑った。
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