水色の運命
「お前
気になる女の名前知らへんの?」

隆太がきくと
水崎はうつむき加減に


「知らんねん」

と言った。


「顔は覚えてるん?」

「うろ覚え程度や」

「どこで会ったん?」

「なんやねん!
根ほり葉ほりきくなや」

水崎は照れ隠しにそう言ったが
素直に答えた。


「あそこの大通りから
ちょっと入った茶店」

身振り手振りで場所を詳しく教える水崎。


「あの辺ウロウロしてたら会えるんちゃうの?」

隆太はニヤリと笑いながら言う。


「オレ今度はストーカーで捕まるやろ」

水崎は
タバコを灰皿でもみ消した。
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