alter ego~君と僕~
席に座る。



「あの…、凜さん…」

「ご、ご注文がお決まりになったら、お声を…」



凜はそそくさと身を翻した。





立ち上がり、凜の手を掴む。





凜の身体が強張る。



「凜さん、聴いて下さい」

「…な、…何…?」



凜は振り返らない。



「前に、僕が何か、告白めいた事を言いましたよね?」

「うん…『好きになってしまった』って…」



そんな事、言ったんだ。いい迷惑だったろうなぁ、凜さん。



「あのですね、その言葉は、何というか、親愛の表現というか…」

「へ?」



振り返った凜の口は半開きだった。


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