【企画】落下した青で窒息死
空が低い。
駅を出ると、すぐそこは海岸通りで、道路を横断して石の階段を下ればもう海辺に降り立つことができた。
なんとなく、既視感を覚える。
体が寒さの感覚を思い出しているからだろうか。
貝殻や割れたビンが散乱している場所を転ばないよう慎重に過ぎると、湿って重い砂浜。
その先には泡を立てる波を境に、どこまでも広がるグレーの海。
すぐ右手にはくすんだ白の展望台。
重い雲が垂れこめ、今にも水平線とぶつかりそうだ。
モノクロの世界。
に、私たったひとり。
海鳥が一声、寂しく鳴いた。
それを聞いているのも、私だけ。
ああ、私は本当にひとりぼっちだ。
ジャケットの前を、ぐっと寄せる。
寒い。
なにもかも、寒い。
こんな所まで来たのに。
私はこんな思いをしたかったのだろうか。