【企画】落下した青で窒息死




「どうして、そんなにくっついてくるの?」


「だって、あったかい」




ふと、いつかの彼との会話がよみがえる。


一緒にいるとき、彼はいつも私の傍から離れなくて。


うっとうしいって顔をしながらも、嬉しそうに寄り添ってくる彼を、

私は愛しいと思った。




彼は真顔からあまり表情が変わらない人で。


人から見れば、その喜怒哀楽はほとんど読み取れないと思う。


でも、私は彼が笑っているのか、怒っているのか、いつのまにか分かるようになっていたんだ。




分かりにくい人。


でも、私の傍では、彼はいつも楽しそうだった。


私は、それをよく知っていた。


彼を一番分かってあげたかったし、そうできるのも私だけだと思っていた。




それなのに、それなのに。



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