【企画】落下した青で窒息死
満足気な彼を見て、私はまた涙が出てくる。
言われてみれば、彼はほんとに頻繁に海外へ行っていた。
私が寂しい思いをしている間、彼はいつもそうやって楽しんでいたのかと思うと、
腹の底が焼けつくような心地になる。
こんな話を聞かせるために、わざわざここまで来たの?
私のことだって、少しくらい……
「……バカ」
彼の姿が、ぐにゃりと歪む。
「バカ!」
叫んで、涙が一粒、手の中の写真に落ちて青に染まった。
それがとても綺麗で、いっそう悲しくなる。
彼の写真には、価値がある。
私より大切なのは仕方がないと、諦めざるを得ない。
「泣かないで」
彼は段ボールをひっくり返して中身をカラにすると、
足元からまた別の段ボールを取り出して、再び写真をばらまき始める。
いったいどれだけ持って来てるんだ。
「もう、やめてよ」
私は鼻をぐずぐず鳴らしながら、涙をぬぐいもしないで地団太を踏む。