【企画】落下した青で窒息死

それから何度か製作チームと一緒に打ち合わせをした。


そのとき作品をいくつか見せてもらって、彼がただのぼうっとしたカメラ小僧でないことは分かった。


専門的なことなど、まったく分からない。


でも彼の撮る写真は、あたたかい。


なぜか、見る者に安らぎを与える不思議な力がある。


それは彼自身が常に安らいでいるからなのかもしれない。


きっと彼の写真にうつっているのは、彼がレンズ越しに見た世界そのものなのだ。


誰にも影響されず、のんびりと彼の世界に生きているからこそ、

彼はカメラマンとして一流なのだと。


そう思った。


けれどそう思っていただけで、写真集の製作中に私と彼が言葉を交わすことは一度もなかった。


彼は衣装について何も要求しなかったし、だったら私は彼に言わねばならないことなど何もなかった。




だから、完成した写真集を持った彼が職場に訪ねてきたとき。


私は心底驚いた。