【企画】落下した青で窒息死
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窓の外の景色は、ぐんぐん流れていく。
しだいに色が失われていくそれに、いっそう冬が近くなる。
きっと私が想像しているより、この辺りはもうずっと寒いのかもしれない。
厚手のジャケットにストールを羽織って来たけれど、手袋も必要だっただろうか。
しばらく忘れていた、体が底からしんしんと冷える感覚を思い出して、腕を抱いた。
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そういえば、彼と初めて体を重ねたのも冬だった。
寒い寒い、とすり寄って来た彼がとても可愛く思えて、
くすくすとじゃれあっているうちに、あれよあれよと流されてしまった。
彼はまるで終始猫のように、頬ずりしたり、舐めたりして、私で遊んでいた。
私はなんだか恋人になったというよりは、お母さんになってしまったような気持ちにさせられて、
彼の柔らかい髪をなでながら、これからの二人の関係を憂いたのだ。
そして、その憂いは見事に的中してしまった。
それまでもじゅうぶん変な人だと思っていたけれど、それでも一線を越えるまでは、まだ遠慮があったらしい。
以降、彼のふるまいは傍若無人ぶりを極める。