【企画】落下した青で窒息死


*****


窓の外の景色は、ぐんぐん流れていく。


しだいに色が失われていくそれに、いっそう冬が近くなる。


きっと私が想像しているより、この辺りはもうずっと寒いのかもしれない。


厚手のジャケットにストールを羽織って来たけれど、手袋も必要だっただろうか。


しばらく忘れていた、体が底からしんしんと冷える感覚を思い出して、腕を抱いた。


*****


そういえば、彼と初めて体を重ねたのも冬だった。


寒い寒い、とすり寄って来た彼がとても可愛く思えて、

くすくすとじゃれあっているうちに、あれよあれよと流されてしまった。


彼はまるで終始猫のように、頬ずりしたり、舐めたりして、私で遊んでいた。


私はなんだか恋人になったというよりは、お母さんになってしまったような気持ちにさせられて、

彼の柔らかい髪をなでながら、これからの二人の関係を憂いたのだ。


そして、その憂いは見事に的中してしまった。


それまでもじゅうぶん変な人だと思っていたけれど、それでも一線を越えるまでは、まだ遠慮があったらしい。


以降、彼のふるまいは傍若無人ぶりを極める。

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