悲しき恋―時代に翻弄されて―

「おばあちゃん、これなーに?」

今にも朽ちそうな古びた木製の箱を指差した。

「これはね、我が家の家宝だよ。」

「カホウ?」

「お宝さ。見てみるかい?」

おばあちゃんは皺くちゃの顔をもっとくしゃくしゃにして尋ねた。

「うん!」

即答で答えた。その返事しか持ち合わせていなかったのだ。
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