【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
押さえられてちゃ喋れない、というジェスチャーをみて、
私は「それ、口にしないで下さいね」と前置きして手を外した。
「ふー。あんた結構バカぢから……」
人心地がついたように肩を下げるサキに、
謝るというところまで思考が働かない私。
いや働いてはいるけど、違うことで頭がいっぱい。
告白したときは、他に誰もいなかった筈なのに、どこから漏れたんだろう。
中庭だったから、校舎の中から見れないことはないけど……
ユキトさん自身が言ったという可能性はないと思うし。
サキは、何回か口を開け閉めして感覚を戻したあと、
髪をくるくると弄りながら、
私の質問にちゃんと答えてくれた。
「コハルにきいた」
……どちらさま?
「あーコハルじゃわかんねぇか。
春瀬 直紀(ハルセ ナオキ)」
フルネームで言われてなんとなく思い出した。
「生徒会会計の?」
頷いたサキに、私はなんとか顔を思い出そうと試みる。
名前はきいたことがあった。
容姿に至っては、男子にしては小柄な人だとしか記憶にない。