【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「結香チャーン」
「もうホントいい加減に……っ」
文句を言う為に振り返ろうとした私は、いつの間にか。
朝の挨拶に並ぶ風紀委員や先生たちの前へ、
きていた事に気付く。
挨拶が交わされているなかユキトさんがいて。
動きが止まった私を不審がることもなく、
彼にとって私は、やっぱりその他大勢の生徒と変わりがないのだと、改めて思い知る。
キチリと胸は痛むけど、どこか納得している私がいて。
通りかかる生徒に、分け隔てなく爽やさをたたえて微笑むユキトさんの挨拶に、
かすかに目は潤むけど、反面、笑みさえ浮かびそうになる。
そんな自分の心境に戸惑いつつも、
気持ちの整理をつける準備が出来始めたのかな、なんて思った。
少し寂しいけど、
無理に想いを断ち切るわけじゃないから。
ユキトさんへ恋したという私は、このままそっと、大切な思い出へと移り変わっていくのだろう。
きっと。
「結香チャーン」
追い付いたらしいナツキが、突然私の顔を覗き込んだ。