【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ


「結香チャーン」


「もうホントいい加減に……っ」


文句を言う為に振り返ろうとした私は、いつの間にか。



朝の挨拶に並ぶ風紀委員や先生たちの前へ、

きていた事に気付く。



挨拶が交わされているなかユキトさんがいて。



動きが止まった私を不審がることもなく、

彼にとって私は、やっぱりその他大勢の生徒と変わりがないのだと、改めて思い知る。



キチリと胸は痛むけど、どこか納得している私がいて。



通りかかる生徒に、分け隔てなく爽やさをたたえて微笑むユキトさんの挨拶に、

かすかに目は潤むけど、反面、笑みさえ浮かびそうになる。



そんな自分の心境に戸惑いつつも、

気持ちの整理をつける準備が出来始めたのかな、なんて思った。



少し寂しいけど、

無理に想いを断ち切るわけじゃないから。



ユキトさんへ恋したという私は、このままそっと、大切な思い出へと移り変わっていくのだろう。

きっと。



「結香チャーン」



追い付いたらしいナツキが、突然私の顔を覗き込んだ。


< 174 / 299 >

この作品をシェア

pagetop