【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
視界一面を塞ぐように、ナツキの顔が映り込む。
その思いがけない近さに、心臓が跳ねた。
カッと自分の頬が赤くなったのがわかり、そのままナツキに顔を向けていられるわけもなく、思いっきりそらす。
そらした先で、秋月会長の目と合った。
ほんのちょっと会ってないだけなのに、
もう随分会ってないような──いや、見知らぬ誰かのような。
隙間風が通り抜けていく感覚。
乱雑な長めの前髪と、朝陽で反射している眼鏡は、私に表情を読みとらせてくれない。
でもなんとなく寂しさを感じたのは、なんでだろう。
それとも悲しさ?
わからない。
わからない、けど。
「おはよう、ございます」
挨拶が滑り出ていた。
なぜだか、この時を逃しちゃいけないって、心の奥が叫ぶみたいに。
秋月会長も、私から視線を逸らさないでくれたから、
今度はちゃんと言葉を意識して、もう一度。
「おはようございます……秋月会長」
呟くようにその名を呼んだ。