【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
触れる腕は優しいのに、じんわりと伝わる熱は熱い。
なのに秋月会長の指先は、ひどく冷たかった。
「行かなかったんじゃなく、行けなかった。
──オマエがユキトしか見てなかったって、あの日、改めて思い知らされたから」
珍しく饒舌に語る秋月会長が、息を吐き静かに付け足す。
「俺はずっと、オマエの視線に気付いていた」
そのあとそっと秋月会長は離れたけど、私の気恥ずかしさは最高潮で、彼の呟きの真意までを感じる余裕はなかった。
秋月会長の顔をまともに見れるはずもなく、彼も私を見たのかどうか。
無言でいたから、私もそれに倣う。
頭の中は、言われた事よりも、された事に対してばかり向いていて。
ドキドキとうるさい心臓が、思考を散らしてしまう。
気付いたら、学校に戻っていた。
正門前についてたものの、そこから堂々と入るというのは後ろめたくて、例の脇のところから校内へと入る。
秋月会長は当然のように正門へ足を向け、去ってしまっていた。
しかし別れる前にひとこと彼は言った。
「オマエをサボらせたのは俺だ。
責任を感じる必要はない」