【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
振り払えない思考
放送で指定されていた生徒指導室についた。
息も整えないまま、扉をノックしようとした、その時。
中の話し声が漏れ聞こえてきた。
立ち聞きするつもりはなかったが、反射的に手が止まり、
はからずも会話を聞いてしまう。
聞こえてきているヒロシ先生の声は、想像として思い浮かべていたものよりも、怒っていない感じが受け取れた。
怒りというよりも、緊張が滲んだような声色で。
説教に使用されてるものとは到底思えない。
てっきり大声で怒鳴られてるもんだと思い込んでいた私は、見事に肩すかしをくらった気分だった。
しかし淡々としたヒロシ先生が、不気味でもある。
耳をそばだてて様子を窺った。
「わかったな、秋月」
「……はい」
話はすでに終わっていたようだ。
確かめ念を押すヒロシ先生の言葉と、間のあった秋月会長の返事に、ざわりと胸騒ぎがする。