【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「お前ら。痴話喧嘩は余所でやれって言ったろ。
どうでもいい話にコイツ巻き込むな」
低い声に呆れをにじませ、秋月会長がそう言った。
そして書類を「終わった」と、ユキトさんの方向へズイッと突き出す。
ユキトさんがそれを受け取ると、秋月会長は首をこきこきと鳴らした。
「帰るぞ。藍川」
言葉と同時に、私の頭へポンと軽く手をかけ、立ち上がる。
その自然でなめらかな動きの傍ら、私はピシリと固まった。
心臓が早鐘を打つ。
頬が一気に紅潮したのがわかる。
なんだろう。なんか今日の秋月会長、ヘンだ……
突然こんな風に優しく触ってくるなんて、反則だ。
「行くぞ」
カバンを持ち、帰る用意の出来たらしい秋月会長が、ソファーに座ったままの私のそばに立ち、見下ろす。
視線が合って、ドキリとした。