【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
言うだけ言って、私の返事も聞かずに「じゃあな」と生徒会室を出て行ってしまった。
サキは怒り過ぎて言葉が出てこないのか、床を踏む足音も荒い。
ユキトさんとコハルは、台風は去ったとばかりに淡々と書類を整理し始める。
秋月会長から、舌打ちする音が聞こえた。
私の手首──ナツキが掴んだのと同じとこ──を握って、無言で引く。
引かれるままろくな挨拶もせずに、生徒会室を出た。
7時に終わるときいていたけど、まだ6時過ぎたくらい。
それでも、外に出たらずいぶん暗くなっていた。
季節と、今日は空に雲が多いからだろう。
自転車置き場についたところで、秋月会長は立ち止まった。
「藍川」
顔は向けてこない。
「オマエ……」
真剣さを孕んだ口調に、自然と鼓動が高まる。
じっと待つ私の耳に、届いたのは溜め息だけだった。
しばらくそうしてたが、秋月会長は頭を左右に振り、
気を取り直したかのように口を開いた。
たぶん、言おうとした事を飲み込んで。
カタン、と自転車を出して、
今度はこちらを振り返る。
「乗れ」
荷台をくいっと顎でさすと、私に背を向けた。