【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
★4★
落ち着かない心臓
「──っと。藍川は、二人乗りをしないんだったな」
秋月会長は、自転車を跨ごうとしてた足を下げた。
そんなどうでもいいような事を覚えててくれたことに、少し驚く。
秋月会長は自転車に乗らず、私を促しながらゆっくりと歩き出した。
カラカラと車輪の回る音、そして少しの沈黙。
学年も違うし、生徒会と帰宅部では共通の話題もないから、自然と無言になる。
秋月会長自身、口数少ないし。
自然に会話が出来る程、私は秋月会長のことを知らないし。
いや別に会話がないならないでいいんだけど、それならなんで一緒に帰ってんだろうとか、
思ったりもするわけで。
耐えられない沈黙じゃないけど、
私がいる意味って何だろう、とか考えてしまう。
ぼんやり歩いていると、ようやく秋月会長が静かに口を開いた。
「……喉渇いたな」
唐突にそう言ったかと思うと、じわじわと私のほうへ寄ってくる。
なんで。
と思ったら、数メートル先に自販機があるのが見えた。