【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
見とれてた、なんて。まさか。
そんな事を言うわけにもいかないので、話題を変える糸口を探す。
「あ、私、レモンティ好きなんです。ありがとうございます」
「……ああ」
私のお礼に、少しの間をあけて、秋月会長が頷いた。
ごちそうになります、と私が続けた言葉に消えることなく、秋月会長の言った台詞が聞こえた。
「紅茶よく飲んでたし」
──え?
言葉に触発され、私の思考がピクンとはねる。
確かに、よく飲んでるけど。
なんでそれを秋月会長が知ってるの。
秋月会長に理不尽な絡まかたをするようになってから、彼の前でそんな話をした記憶ない。
ましてや『好き』と気付かれるほど飲んだ記憶も。
「どうした?」
缶をじっと見つめて止まった状態の私を見て、秋月会長が訝しげな声を上げる。
「……いえ」
歯切れの悪い返事に納得した様子はないけど、私もこの心に湧いたモヤモヤをなんと言ったらいいのかわからないんだから、仕方ない。