【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
だけど実際は、缶の重みが、私の手から消えて。
「あーっ!!」
ためらいなく口に運びかけた秋月会長に、私は大声を出す。
「何だ」
うるさいとばかりに眉をひそめた秋月会長。
何だ、じゃありません!
「か、返して下さいっ」
だってそのまま飲まれてしまったら、
間接キスになっちゃうじゃないか!
手を伸ばした私に届かないよう、秋月会長はひょいと腕を上げる。
「いいだろう、ひとくちくらい」
そ、そういう問題じゃありません!
精一杯の抗議虚しく、秋月会長は私の隙をつき、ゴクリとひとくち飲んでしまった。
「……甘い」
「も、文句言うなら飲まないで下さい!」
ひったくり返す私の手に、ぴちょんと紅茶が跳ねる。
ぎゅっと缶を持つ手にチカラを込めるけど。
うっすらと濡れる秋月会長の唇が、私の飲んでた紅茶だと思うと、
心臓のどきどきが止まらない。
信じらんない……!
か、間接キスとか、
あ、ありえない……!
「おんなは甘いモンが好きだな」
平然としてる秋月会長。
もしかしなくても……気にしてるの私だけですか。