【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
飲みますか、と言ったのは確かに私だけど。
言ったことをとてつもなく後悔している。
だってまさか本当に飲むなんて、思ってなかったんだもの。
自分の心臓がこんなことになるなんて、思ってもみなかったんだもの。
こんなに意識してしまうなんて。
ちら、と隣を歩く秋月会長を見る。
普段見えない表情が、斜め下のこのアングルからは少し垣間見えた。
私の視線に気付いたのか、こちらに目線が向いた秋月会長の瞳が、
私を射抜き、どくんと脈打つ。
「何」
「な、なんでもありません──あ、ここで大丈夫です」
いつの間にか、家まであと少しというところまで来ていた。
大して時間がかかったわけではないのに、夕方というよりも夜というのが相応しい暗さになっている。
「行くぞ」
「でも……」
家まで送ってくれるらしいが、秋月会長が帰るの遅くなってしまう。
迷いをみせた私をよそに、秋月会長は歩みを止めない。
「じゃあ……お願いします……」
半ば諦めの入った声に、秋月会長は軽く舌打ちをした。
「嫌でも我慢しろ」