【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
こうなったらもう逃げるしかない。
「ほんと何でもないですから!
えっと、明日から20分早くですね、わかりましたっ、じゃ!!」
言うだけ言い捨てて、私は玄関のドアを勢いよくあけ、中へと逃げ込んだ。
卑怯者で結構。
どうせまた明日には顔を突き合わせる事になるから、
一時しのぎの無駄なあがきなんだけど。
それでもあのまま秋月会長の視線に晒されるよりかは、だいぶマシ。
後ろ手に引いたドアが、完全に閉まる前に突然、ガッと負荷がかかった。
「オイ」
「ぎゃあっ!!」
ドアを掴み、力を込めている手が見える。
ぐっとドアの隙間が増え、その間から秋月会長の姿が見えた。
「なに一人で納得してんだ」
いつも以上にムスッとした顔で、眼力凄まじく私を見る。
細められた目にはうっすらと苛立ちが混じり、
ドアの足元付近では、靴が挟まっていた。
何かの押し売りですか。
それともヤのつく自由業のかたですか。