【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
最後まで言えなかった。
恥ずかしさを隠すように、キッと目にチカラを入れて睨みつけながらまくし立てていたのだけど。
語尾まで待たずに、秋月会長に反応があった。
「……ウゼェ」
その一言で、私の視線がより一層キツくなってしまったことは言うまでもない。
外見上はそうだったのだけど、心の奥底ではキチキチと何かが崩れる音がした。
秋月会長は、ドアを押さえた手はそのままに、もう片方の手で自分の口元を覆う。
それを見て、思った。
私と間接キスをしたと気付いた秋月会長はきっと、不快だったんだ。
そう思ったら、
秋月会長の所作が、歪んだ。
「オイ、オマエ何泣いて──」
「ませんっ!」
秋月会長が見開いた目から、私は思いっきり視線をそらす。
「泣いてなんかいませんっ!!」
「泣いてんだろうが」
迷惑そうに溜め息をついた秋月会長に、私の中で張り詰めてたものがプチンと切れた。