【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
その間も手だけは動いて、身支度を整えていた。
あわただしい朝食では、母から「あら今日は早いわね」なんて言われ、気もそぞろに返しながら口に押し込む。
「彼氏が出来ると違うわね」なんて探るように見てきたから、それだけは全面否定した。
そうして玄関で靴を履いたのは、いつもよりきっかり20分早かった。
しかし起きた時間は殆ど変わらないわけだから、
いかに朝食に時間をかけてたか、いかに身支度がノロノロだったか、という話でもあるわけだけど。
トントンとローファーのつま先を鳴らしつつ、玄関の鏡でチラッと自分の姿をうつす。
顔色があまりよくない。
パンパンと軽く頬を叩き、気合いを入れた。
──よし。
そっと扉を開けると、こそこそと門から表を覗く。
門に背を預けていた秋月会長と、ぱちりと目が合った。
のに。
ぱっと顔をそらされる。
──え?
スッとそらすとか、何気なく視線を外したとかじゃなくて、
そりゃもう、あからさまに。
昨日の今日で、そんな態度をされたら、
私いたたまれないんですけど。