【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「でもそんな顔させた事は、悪いと思っている。
ただ──」
不意に合わせられた視線は、鋭くて……切ない。
真っ直ぐに向けられてわかった。
億劫と認識したのは、捨て鉢な表情だったという事を。
「半端な気持ちでしたわけじゃねぇから」
秋月会長の視線は、私を見てるのに、私を見てない。
ふ、と解けた思考の先に、私はきゅうっと胸が詰まる。
昨日のキスが現実離れして感じたのは、これなのかも。
私に対してなのに、私に対してじゃないような、
違和感をかぎ取ったのかもしれない。
「オマエの気持ちを無視したのは、悪かった」
だって、それ、私の気持ちも都合も、いつも無視してたひとの台詞じゃないもの。
私の気持ちを無視したというのなら、あのキスは誰の気持ちを優先させたものなの。
半端じゃない気持ちって、なに。