【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
速められた足に、私はついていくのがやっと。
こんなんだったら、バイクで通学したほうが良かったんじゃあ……
別に、また乗ってみたいなとか、思ってるわけじゃない……と思う。
ふと歩調が緩んで、周りを見る余裕が出来たとき、
校門の見えるところまで来たんだと気付いた。
いつもより速いペースでの移動だったから、
私は少しだけ息があがっている。
秋月会長は涼しい顔でいつもの道を通り、私もそのあとに続こうとしたとき、
後ろから声が掛けられた。
「アキ?」
振り返った秋月会長は、一瞬だけ私の顔を見て、
でもすぐに声を掛けてきたひとのほうへ視線を動かした。
「やっぱりアキだ。
おはよう。今日は早いんだな」
「ああ。おはよう、ユキト」
挨拶しながら秋月会長はさりげなく私と位置を入れ替わり、後ろ手で私を後方へ押しやる。
「ヒロシ先生のお灸がきいたの?」
「そんなんじゃない」
ユキトさんの声がするたびに、私の心臓がざわめきだす。