【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
ユキトさんが秋月会長と会話をしてる間にと、そっと足を動かそうとしたとき。
「あぁそっか。ヒロシ先生に絞られたんだっけね」
ユキトさんの、柔らかく不思議と通る声が、私の耳に入ってきた。
後ろめたさに足が止まりかける。
「いや、別に。顧問は関係ねぇよ」
「そう。でも連れてたのって、あの子なんでしょう?」
驚いて思わず振り返ってしまった私の目に、
こちらを見るユキトさんと、
秋月会長の、にがりきった顔が見えた。
「──関係ねぇよ」
「そう? でも生徒会室に来てたのも、あの子だったよね」
ユキトさんの笑顔が秋月会長に向く。
私はその笑顔へ胸が揺らぐ以上の衝撃を受けた。
ユキトさんが、私のことを、覚えているなんて。
そして秋月会長も同じだったのか、
見開いた目をユキトさんに向けていた。
「……覚えてんのか?」
「うん。なんてったって、アキに浮いた噂が出るなんて初めてだし」