【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
救えぬ焦り
毎日同じことの繰り返しで、違うのは授業内容だけ。
そんなこんなで訪れた放課後も、これまたいつも通りの筈……だったんだけど。
いや、いつも通りではあった。
ぱたぱたと部活動に向かうクラスメイトも、
帰り道に何処へ寄るか、楽しそうに話しながら教室を出ていく帰宅部の子も、
私の真後ろから居丈高に声を掛けてくる秋月会長も、
そのあとをついて教室を出たのも、
いつも通り。
ただひとつ、いつもと違うのは、
上り階段の踊場で秋月会長が足を止めたということだ。
しかも、それだけではなかった。
「……なんですか、これ」
思わず目が釘付けになってしまうくらい、
予想外のものがそこにあった。
秋月会長に不釣り合いというわけではないけれども。
何を思っての行動なのか、全くもって理解不能な代物が、
彼の手に持たれ、私に突き出されていた。